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日航123便DFDRでのCWPとRLLの因果関係の調査結果
DFDRでのCWP(操縦輪の角度。グラフの一番上)とRLL(機体のロール角。グラフの一番下)のグラフを事故調査報告書の各ページ画像を繋いで一つの画像にします。
CWPとRLLはダッチロールでかなり値が上下に細かく揺れてますので、その揺れを無くすように上下中間を通す線を描きます。ここは手作業で行ってます。
CWPのグラフ上に赤線、RLLのグラフ上に緑線があります。

次に背景を黒色にして線だけを描画した画像にします。

ここからコンピュータプログラムで各ピクセルの値を読みとり、角度の小数へ変換したデータに起こします。
基準点として使用しましたのは、DFDRの図の横に描かれた点線でして、CWPの場合は-50度から+50度、RLLの場合は-80度から+80度です。
その基準点からピクセルの位置を比較して角度の値を計算します。元のDFDRの絵が紙からスキャンしたような絵ですから、多少歪みがあって誤差が出るのは仕方ないです。
重要なのは絶対的な値ではなく、相対的な値の上下に流れる方向性ですから、細かい画像補正は行いませんでした。多少の誤差は検証の支障にはならないです。
取得されたデータはCSV形式で1列目が時刻、2列目がCWP、3列目がRLLとしてファイル出力しました。
cwprll.csv
CWPだけのグラフはこちらです。

RLLだけのグラフはこちらです。

CWPとRLLを重ねたグラフはこちらです。
異常事態発生が18:24:35ですので、それ以降のグラフでは特に相関があるようには見えないと思います。

CWPを90秒右(時間を遅らせて)にずらして重ねたグラフはこちらです。異常事態発生前は省略してます。やや相関があるようにも見えます。

スケールが異なるので、見た目で分かりやすいようにCWPの縦スケールを4倍にしました。表示上の都合で大きく急上昇している部分だけカットしてます。
相関している部分が多いように見えると思います。

相関の確認
以前から手作業のグラフ加工と見た目でグラフの特徴点を比較する方法で60秒から90秒時間差での緩い因果関係があるという話を出してましたが、今回はコンピュータを使用した相互相関での計算で確認してみます。
1つの波形を時間軸でシフトさせ、もう一方の波形との一致度を測定します。ここでは時間差(ラグ)の範囲を-200秒から+200秒と仮定して、最大となるラグの時間を算出します。
結果としましてはCWPのグラフを92.5秒の時間遅れにしますと、RLLのグラフとの一致度が最大になることが解析で明らかになりました。
使用したデータは遅れやスケール変更前のcwprll.csvです。

上記の処理では、DFDRに記録されたすべての時間において処理を行った結果ですが、
18:26:25までと、18:40から18:45までのデータは除外して相関を調べたほうがいいと考えてます。
18:26:25までというのが異常事態発生2分後まででして、この間は事故調によりますとまだ油圧が残っていた時間帯で、その後は油圧なしとされてます。
18:40から18:45までというのは大月上空で360度旋回をしていた時間帯です。ここはギア下げで機体バランスを失って降下していた時間帯です。操縦輪操作の影響は相対的に無視できるほど小さくなっていたと思われます。
以下の黄色の部分となります。
黄色部分以外では見た目でグラフの上下に移動する傾向が似ていることに気が付きます。

この2つの時間帯を除いて処理しますと、以下となり、結果としては同じ92.5秒ですが、より値が際立ってます。
CWPのグラフを92.5秒右にずらすとRLLとの一致度が高いということは、実際にはCWPの操作がRLLの挙動よりも92.5秒先立っていたという意味になりますので、
因果関係ありと推定できますが、きっちりと一致しているわけではありませんので、あくまで緩い因果関係と見るのが正しいでしょう。
機長のターンレスト、ターンライトの指示で副操縦士が操縦輪を操作して92.5秒遅れで機体がやや反応していたとしますと、数分の時間間隔では、なんとなく左方向、なんとなく右方向、程度には制御されていた可能性が高いです。
油圧が無くなったという事故調の根拠とはダッチロール周期で波形を見た場合に操縦操作に機体が反応していないということなのですが、それはそれで正しいのですけれども、
ダッチロール周期よりももっと長い数分の時間間隔で解析した場合には操縦操作に対して機体の反応がややあるという結論となります。
油圧が少し残っていたからこそ、CWPとRLL間には因果関係があるのだろうと考えてます。また、今回は検証を省略しますがRLLと機体進行方向には相関があります。

一応、CWPのグラフで大きく突出して急激な変化のある18:47:30から18:50:26のデータに大きく依存している可能性もありますから、
念のため、その区間を除外して処理してみます。下に黄色区間を追加してます。
CWPの赤線の90秒ずらす前のグラフでは急激変化は18:47:30からとなってます。

結果としましては85.6秒となりましたのでそれでも近い値となることを確認しました。

相関係数
統計的手法でピアソンの積率相関係数を求めてみます。
18:26:25までと、18:40から18:45までのデータを除外したスケール1倍のCWPとRLLについて、突出した値の依存を減らすためにカットしてみます。
-30以下の値は-30として、30以上の値は30とします。
次に、CWPとRLLでは縦軸スケール範囲が異なりますからある程度スケールを合わせるためにデータを標準化しまして、92.5秒の遅延で相関係数を求めましたところ結果としては0.230という値となりました。
これはどのような統計的意味があるかと言いますと、一般的には次のように定義されてます。
0.1未満: 相関はほぼ無視できるほど弱い
0.1~0.3: 弱い相関
0.3~0.5: 中程度の相関
0.5以上: 強い相関
つまり、大月旋回区間を除外した場合には、92.5秒の遅延のCWPとRLLには弱い相関があるという統計的結論となります。
また、大月旋回区間を除外しなかった場合の相関係数は0.0600でしたので、その条件の場合は相関がないと見なされます。
下図が標準化処理後のグラフです。大月旋回区間は横線で表示されてますが、計算に使用したデータはその区間は削除されてます。
かなりグラフの上下に移動する方向性として似ていることが分かると思います。この図はCWPだけ92.5秒右シフトされて描画されてますので、実際は操縦操作のほうが機体挙動よりも先行していることに注意してください。

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