日航123便墜落事故調査「明らかにすることはできなかった」18件のすべて


以前の動画で日航123便の事故調査報告書には「明らかにすることはできなかった」という表現が多く登場するといった話をしました。
それでは具体的に報告書の該当箇所を抜き出して具体的には何を明らかにできなかったのかというのを一つ一つ確認していきたいと思います。
「明らかにすることはできなかった」という表現は動画では16回登場すると説明してましたが、少し検索漏れがあったようでして、
詳しく調べますと18回登場してましたので、その18箇所を全て確認していきます。
では、報告書のページ順で確認していきます。


1 p49 第4エンジンに関しての説明
ニューマチック・ドライプユニットのモータ部からはスラスト・リバーサの位置を明らかにすることはできなかった。

(考察)
ということで、スラストリバーサっていうのはおそらく逆噴射に関連する用語なんですけれども、
通常の旅客機でしたら、滑走路に着陸後に逆噴射をブレーキのように使用します。
エンジンは逆噴射時には形状が変化するのですけれども、123便の場合はどうなっていたのか分からないという意味だと思います。
墜落直前の状態として、空中で逆噴射を行っていたことはあり得ないと思いますけれども、
少し、気になるのは、CVRの言葉で「いや、ロック」という部分がありますが、もしかすると、
逆噴射の操作で関連した言葉の「インターロック」と言っていた可能性もあるんじゃないかなとかは思いましたね。
異常事態発生後というのは一応、緊急着陸の準備のために逆噴射についてなにか確認していても不思議ではないからです。
話がそれますけれど、
油圧が「オールロスですか?」の次に機長が「いや、ロック」と返事したとしますと、機長はロスではなくてロックと思っていた可能性もあるのです。
油圧シリンダーが固着して作動油の流れが止まり、アクチュエーターを動かせなくなる現象をハイドロリックロックと言うからです。

では、次にいきましょう。


2 p50 右水平尾翼に関しての説明
マニュアル・アーム・バルプの中立位置で加圧したところ、作動液がバルプ・ダウン位置から流出し、ブレーキを解除してしまった。
分解調査を行っても、この機能異常の原因を明らかにすることはできなかった。

(考察)
ということで、これも油圧関連です。
報告書を読みますと垂直尾翼のことなのか水平尾翼のことなのか分かりにくいのですが、おそらく水平尾翼です。
作動液というのは油圧で使う油のことですから、それが流出してしまったのがいけないようです。
ブレーキを解除したというのが意味がよく分かりませんけれども、墜落後の残骸には不具合があったということでしょう。
123便の事故原因として、結果的に油圧が無くなって操縦不能になったということなんですけれども、
このように作動液は結構いろんな箇所から見つかっているので、完全に空だったわけでもなさそうなんですね。
以前の動画やWebページでも油圧が少し残っていた可能性について統計学的に検証しましたけれども、
事故調としてはDFDRのデータ解析で油圧が無くなったことを確認しているので、同じようにDFDRから油圧が少し残っていたことを検証したわけです。
データの見方が事故調とは違うので、多少違う結論なのですが、少し残っていた可能性のほうが高いかなと個人的には思ってます。


3 p57 発電機についての説明
特定可能であった発電機系統の電球の点灯状態からは、事故機の墜落時の4基の発電機の作動状況を明らかにすることはできなかった。

(考察)
これは発電機の状況ということで、4つのエンジンに付随する部分ですけれども、
4つのエンジンの推力はDFDRで記録されてますから、発電機の作動状況が明らかになってなくても事故調査に支障ないかなと思います。
次いきましょう。


4 p59 方向蛇ゴム・シール痕についての説明
上部方向舵が脱落するときに同方向舵によりゴム・シールが強く押し付けられた結果付着したものと考えられるが、
方向舵の残骸は回収されたものが少なく、痕跡B及びCの発生の経緯を明らかにすることはできなかった。

(考察)
ということで、これはフラッター説でよく話題になるところですね。
要するに垂直尾翼で方向蛇がブルブルと振動したからム・シール痕がついていて、そこから破壊が始まったんじゃないかって説がありますけれども、
DFDRではブルブルと横振動したのは異常事態発生直後であって、異常事態発生前にはその兆候はないです。
とりあえず、明らかにすることができない理由として、残骸は回収されたものが少ないって言っているわけなので、やっぱりもっと回収したほうがいいのだろうと思います。
ここで、ちょっと気にしてほしいのは、「付着したものと考えられる」という表現ですね。前回動画で説明済ですけれども「考えられる」というのは、
単なる文章表現の言葉ではなくて、推定度合いを表わす4段階のキーワードのうちの上から3番目の推定度合いの単語として定義されている言葉です。
つまり、そういう可能性が高そうだけど、違う可能性もあるかもね、って感じです。

では、次です。


5 p61 プレッシャ・リリーフ・ドアについての説明
当該ショルダ・ナットに認められたすり傷が、製造時の試験の際に発生したもののみであるのか、
あるいは同機の飛行中にラッチが外れた場合に発生するであろうすり傷が含まれているのかを明らかにすることはできなかった。

(考察)
結局、異常事態発生時にプレッシャ・リリーフ・ドアが開いたのか開かなかったのかっていうのが、かなり微妙なんですよ。
ドアがオーバースイングした際の傷を調べてどっちだろうって推測しているのですけれども、その傷がいつ発生したものなのかが分からないらしいのです。
顕微鏡で見てもわからないのでしょうか?そんなことあるのですか?新しい傷なのか古い傷なのかすら分からないのでしたら事故調査にならないでしょう。
とりあえず、プレッシャ・リリーフ・ドアが開いていた可能性のほうが高いとして、事故調はシミュレーションもその前提で行ってます。
自分的には気化燃料爆発説を推しているので、その爆発で勢いよく開いたとしても、逆に、勢いが早すぎて開かなかったとしてもどちらでもいいと思ってます。


6 p91 自動操縦についての説明
CVRの記録からはその際発せられるべき同装置解除の警報音が確認できず、
同警報システムについての調査を行ったがその理由を明らかにすることはできなかった。

(考察)
以前考察しましたけれども、これも、どうなんでしょうかね。
自動操縦が解除されたことはDFDRに記録されてますので、解除はされていたのは間違いないと思いますけれど、
ではなぜ警報音が鳴らないのか?不思議です。
仮に、不具合で鳴らなかったのだとしたら設計ミスの可能性もありますよね。
こういう調査はボーイングに丸投げでいいんじゃないですか。
詳しく調べて再現させてほしいものです。
ちなみに、異常事態発生直後の1秒間記録された警報音が実はこの自動操縦解除音だとかいう説もありますけど、
最近はその説はあまり聞かないですね。そもそも音が違うのでその説は間違っていると思いますけれども、
どうして、そういう説が出てきたかっていう背景としては、CVR音声がノイズだらけで聞き取れなかったからなんだろうと思うのです。
現在はノイズキャンセリングも出来ますし、再度確認したら、そういう説は下火になるような気がします。


7 p94 CVRに記録された風切り音についての説明
ヒューヒューという音は操縦席回りに当たる気流がある条件に適合した場合に発生する風切り音である可能性が大きいが、
その音の発生源等を明らかにすることはできなかった。

(考察)
R5ドアからの空気流出の音じゃないのかと以前から思っているところですけれども、
なぜかと言うと左旋回した時に音がするという話なので、だとしたら胴体右側に穴が開いていたら、空気の抜ける音として辻褄が合うからです。


8 p104 圧力隔壁へのたばこヤニ付着についての説明
非与圧側へのヤニの吹き出しが前回のC整備(No.llC)の際にあったか否かについては明らかにすることはできなかった。

(考察)
ここも重要なところでして、結局、たばこのヤニっていつから存在していたのかがはっきりしていないのですよ。
だとしたら、隔壁の修理ミス部分での疲労亀裂って実際は大したことなかった可能性もあるんじゃないのって思うのです。
思うっていうか、いろいろと数字で検証してみてもそんな結論でした。
ここを語ると長くなりますので、Webページの解説のほうで詳しくやってますから、興味のある方はそちらをご覧ください。


9 p106 プレッシャ・リリーフ・ドアについての説明
このドアは墜落現場付近で発見された。
事故初期においてこのドアが開いたかどうかを知るための分解調査、試験等を行ったが、これを明らかにすることはできなかった

(考察)
これは先ほどと内容的に同じところなので、考察は省略します。次いきましょう。


10 p107 客室後部の損壊についての説明
客室最後部化粧室及びその付近の客室内装の一部が破損し、与圧室から後方へ飛散していたと認められる。
その他の部分も損壊していた可能性も考えられるが、それを明らかにすることはできなかった。

(考察)
ということですけれども、隔壁説において、化粧室が破壊されていたなら、客室後部からその破壊部分に向かって空気は流出したでしょうから、
特に最後部の座席付近で強い風を生存者が感じていないのは矛盾があると思いますし、霧も客室の前方より後方のほうが濃くなりそうです。
気圧変化のシミュレーションソフトは自作して確認してますので、やはり隔壁説の説明には矛盾があるという結論です。
ブラウザで動かせる自作ソフトは無料公開してますから、自由に使ってみてください。
ところで、与圧側の隔壁面の断熱材については報告書ではなぜだか完全に説明を避けてます。
隔壁に小さい開口があっただけでも、そこの断熱材が流出して水平尾翼内に入ることは十分に考えられることですから、
水平尾翼内で見つかった断熱材が隔壁説が絶対正しいという証拠にはなっていないのです。
「その他の部分も損壊していた可能性も考えられる」としているのだから、与圧側隔壁面の断熱材が損壊していた可能性もあるわけですし、
R5ドア付近で損壊があった可能性もあるわけです。
ちなみにR5ドアや水平尾翼が無傷で発見されたとかいう話があるのですけど、実際は傷だらけですし破損もある状態で発見されてます。
化粧室の天井パネルは実際は外れて落ちただけで、
隔壁方向へ吸い込まれるように飛んで行ったとかはなさそうなので、隔壁に大穴が開いた想定は矛盾が多いのです。

はい、では次いきましょう。


11 p115 緊急降下をしなかったことについての説明
運航乗務員が機内の減圧状態を知りながら22,000フィートヘの降下を要求したのみで安全高度の13,000フィートヘの緊急降下を行わず、
与圧なしで約18分間高度20,000フィート以上の高度で飛行を継続したが、その理由を明らかにすることはでぎなかった。

(考察)
この説明で「運航乗務員が機内の減圧状態を知りながら」って記載されてますが、
圧力隔壁破損説が正しいとしますと客室やコックピットの気圧は外気圧まで落ちていて、かなり矛盾した行動をとったことになるので不可解だろうと思います。
しかし、仮に圧力隔壁破損説が間違いとした場合には、急減圧は一瞬だけで、あとは減圧が緩やかだったことがありえますから、色々と説明が出来るのです。
また、クルーらは、コックピットで鳴っていた客室高度警報が離陸警報の誤動作で鳴っていたと勘違いしていた可能性もあります。
他の航空機事故で警報音の勘違いの事例があるからです。


12 p115 酸素マスク着用についての説明
従来からその着用について教育訓練を受けている運航乗務員が、減圧状態に直面しながらも酸素マスクを着用しなかったことについては、
その理由を明らかにすることはできなかった。

(考察)
これも緊急降下をしなかった理由と同じになりますけれども、仮に圧力隔壁破損説が間違いの場合には、
減圧が緩やかだったから酸素マスクを着用しなかったという視点が出てくるのです。
圧力隔壁破損説が正しいけれども減圧が緩やかだった、なんてことはありえないのですけど、
これを信じている人も多いので、念押ししておきますが、少なくとも事故調の解析を信じるのなら絶対にありえないですからね。
あり得るとすると、それは事故調の圧力隔壁破損説を否定する全く異なる別の隔壁説となりますから、もし本当に別の隔壁説が正しいのだとしますと、
再調査で正しいことを証明して事故調査報告書を書き換えるべきだろうと思います。


13 p116 R5ドア付近の酸素供給についての説明
R-5付近に発生したとみられる酸素供給の不具合は、異常事態発生の際の衝撃によって天井裏の同系統装置の一部が損傷したことによるものとも考えられるが、
これを明らかにすることはできなかった。

(考察)
酸素供給の不具合があったことを確定できるのかどうかは、よくわかりませんけれども、
生存者の証言から酸素供給の不具合がR5ドア付近で発生したと解釈しているようです。
ここで、注意したいのは、「によるものとも考えられる」という表現です。
「考えられる」の推定度合いが低いことは前述の通りですけれども、
それに加えて、「とも」って記載されてますから、あれもありそう、これもありそう、という他の可能性もあると事故調も自覚しているのです。


14 p116 精神緊張度についての説明
異常事態発生以前における運航乗務員の精神緊張度の高まりの原因を明らかにすることはできなかった。

(考察)
ここも結構話題になる部分ですね。要するにCVRへの音声記録が開始される以前の時間帯でなにか異常がすでに発生していたのではないか?という疑惑です。
否定は出来ません。なにかあったのかもしれませんが、なにぶんCVRの証拠が無い時間帯なのでなんとも言えないです。
DFDRを確認しますと小さなぶれみたいなのがあったりしますが、それが異常かと言うとそれほどでもなさそうですし、生存者証言でも爆発音前の異常の話はないですし、分からないとしか言いようがないです。
仮に、異常がすでに発生していたとしますと、早すぎると指摘されるスコーク77のコールも説明はしやすくなるのかなとは思います。

はい、次いってみましょう。


15 p117 CVR記録の「おもたい」についての説明
操縦索には隔壁の破壊等による拘束があったとみられ、
かなり大きな操舵力を必要としたことによるものとも考えられるが、これを明らかにすることはできなかった。

(考察)
油圧を失ったことによる重さとも違うようなニュアンスですから、操作をするときに物理的に障害物が邪魔をしていて重かったといういことでしょうか。
事故調としては「操縦索には隔壁の破壊等による拘束があった」としているらしいですが、
ちょっと具体的にはなにを言っているのかよくわからないです。
B747の操縦操作は油圧で動く仕組みで、人力操作はできないのですけれども、
しかし、油圧をケーブル経由で弁の開閉で制御したりしますから、そのケーブルが動かしにくかったという意味なのかもしれないですね。
実際なにがおもかったのかはボーイングに実験してもらえば明らかになりそうですけど。


16 p126 酸素マスク着用についての説明
運航乗務員は最後まで酸素マスクを着用しなかったものと推定されるが、その理由を明らかにすることはできなかった。

(考察)
そうですね。圧力隔壁破損説が間違いという視点から仮説を再構築すると明らかになるんじゃないですかね。と思います。


17 p126 緊急降下をしなかったことについての説明
運航乗務員が緊急降下の意向を示しているのに緊急降下を行わなかったのは、
飛行姿勢の安定のための操作に専念していたためとも考えられるが、その理由を明らかにすることはできなかった。

(考察)
これも前述とおなじなので省略しますが、気になるところは「飛行姿勢の安定のための操作に専念していた」って言ってますね。
減圧症状で会話すらできなかったみたいな説がありますが、DFDRを見ますとダッチロールに対応して常に細かく操縦操作しているので、
事故調の操作に専念していたっていう説明も一理あるかなって思います。

次いきましょう。最後となります。


18 付録 p160 客室高度警報についての説明
客室高度警報音と見られる警報音が18時24分37秒に約1 秒間(3 回)しか鳴らず、
その後約27秒間停止し、再び25分04秒から鳴り出したことについては、その理由を明らかにすることはできなかった。

(考察)
これはかなり重要なところです。
DFDRでギアのTILT解除が記録されてませんので、同じ音である離陸警報が鳴る条件は満たさないので、客室高度警報で間違いないと思いますが、
一方で、機長らクルーは離陸警報の誤動作として認識していた可能性が高いと思います。
客室高度警報がすぐに鳴り止んだという証拠を無視しないと隔壁説は成り立ちません。
客室高度警報は常に正しく動作していて、客室気圧は客室高度警報の通り推移したのが事実と考えるべきです。


以上です。
「明らかにすることはできなかった」18件を全て説明しました。
事故原因に密接に関わっている部分がいろいろとありましたね。
重要なところで未解明な部分がありますから、圧力隔壁破損説が正しいと言い切るのは無理があります。
圧力隔壁破損説が正しいという前提だからこそ説明出来ないという部分もあると思います。
もっと別の仮説も検討してみるべきでしょう。



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