振り子とジャニベコフ効果
ジェニベコフ効果とは無重力空間で回転する物体が、一定の周期で回転軸の向きを180度反転させる不思議な現象のことです。
物理学では「中間軸の定理」や「テニスラケットの定理」としても知られています。
1985年に旧ソ連の宇宙飛行士ウラジーミル・ジャニベコフが、宇宙ステーション内で回転させた「T字型のハンドル(蝶ネジ)」が、回転しながらくるりと向きを変える様子を発見したことで注目されました。
物体には回転のしやすさが異なる3つの主要な軸(慣性主軸)がありますが、そのうち「中間の回転しにくさ」を持つ軸のまわりで回転させたときのみ、この不安定な反転運動が起こります。
この効果は地上でも確認できます。
テニスラケットの面を水平にして持ち、空中に放り投げて「面を1回転」させようとしますと、
ほとんどの場合、ラケットは1回転する間に「ひねり」が加わり、キャッチするときには面の表裏が逆転しています。
これは、ラケットの面を横切る軸が「中間軸」にあたり、回転が不安定になるためです。
中間軸まわりの回転は、わずかな振動や誤差(微小な摂動)を増幅させてしまう性質があるため、結果としてダイナミックな反転運動が引き起こされます。
物体が回転するとき、「回転の勢い(角運動量)」は一定に保とうとしますが、「回転の向き」までは固定されません。
中間軸で回すと、最大軸や最小軸の方へ近づこうとします。 その結果として、独特のクルンと反転する動きが生まれます。
最大・最小軸は安定した状態。少々動かしても元に戻ります。
中間軸は少しでも左右にズレると、一気に反転します。
無重力状態でT字ドライバーをネジを締める動き(ドライバーの長い棒の軸で)の回転では完全に軸を中心に回すことは不可能です。わずかな軸のずれが混じります。
「最大軸」や「最小軸」での回転なら、その小さなグラつきは無視されます(元に戻ろうとします)。
しかし、中間軸での回転では、ずれが、回転のエネルギーによって膨れ上がっていきます。
そのグラつきが限界まで溜まった瞬間、エネルギーのバランスを取るために、180度ひっくり返るのです。
それが周期的に繰り返されます。
こちらでジャニベコフ効果のシミュレーションが実行できます。
反転する様子をCGで見ることができます。
シミュレーションでは数学的な解である理論値と、リアルタイムにオイラー式での計算の微小時間間隔での結果を計測して比較してます。
理論値の値というのは、第1種完全楕円積分を解いた解となってます。
振り子の運動方程式でも第1種完全楕円積分は登場しましたね。ジャニベコフ効果も広い意味では振り子の運動と呼べるものなのです。
T字ドライバーでなくても、回転しながら周期的に反転する運動はもしかすると、ジャニベコフ効果が働いているのかもしれません。
例えば、太陽の黒点出現周期というのは11年ということが知られてますが、黒点には磁気がありまして、11年ごとに磁気が反転しているのです。
太陽は自転してます。そして磁気が周期的に反転している。ということは、なんだかジャニベコフ効果と似てますね。
あくまで想像ですが、なにか共通する物理現象が隠れているのかもしれません。
振り子の現象を研究することが宇宙の現象を解明することに繋がると考えることは壮大で楽しい知的探求ですね。
2重振り子を実際に動かしてみると、奇妙なその魅力的な動きの中にこの世界の深淵さを感じることが出来ることでしょう。
難しいことはさておき、心躍る楽しい体験にちがいありません。